映画『ツレがうつになりまして』を観た。
すべての日本の人たちに観てほしい、最高の物語だった。
主役の夫婦役を演じるのは俳優の堺雅人さん、そして宮崎あおいさん。二人の息がぴったり合った役柄が、この作品のすばらしさを引き立てていた。
本作はサラリーマンとしてはたらく真面目な男・幹夫と、妻の晴子が、二人三脚で「うつ」という病気をのりこえ幸せをつかむ物語だ。
「うつ」という病気の怖さ、そしてうつとの向き合い方について学ばせてくれる。
「うつ」という病気の怖さ
「うつ」という病気のことを知っている人は、どれだけいるだろう?
筆者である僕自身、うつにかかった経験がないのでハッキリとしたことは言えない。
ただ少なくとも、うつは形には見えにくい、けれど恐ろしい病気だということはよくわかる。
というのも、かつて僕の身近な知人のなかに、うつになった人がいるからだ。
うつになると何も手につかなくなってしまう。
気分が落ち込み、いろんなことをマイナスにとらえ、そしてなにより周囲に大きな心配をかける。
堺雅人さんが演じる幹夫 (ツレ) はうつで仕事を辞めたが、実際うつで退職すると、そこから復職するまでにかなりの時間がかかることがある。
半年。
いや1年。
あるいはそれ以上。
怖いのは、その後ちゃんと仕事に復帰できるのかということだ。
もちろん「うつだったから」と言えば、社会には納得してもらえるかもしれない。
けれど、うつだった人を勤め人として受け入れようと考える企業や団体が、世の中にどれだけあるだろう?
うつは、はた目には見えにくく、見過ごされがち。
けれど人の心を蝕む、れっきとした病気。
一度かかってしまうとその後の人生を難しくする、やっかいな病気なのだ。
辛い経験から学び、多くの人を元気にする
この映画はそんな「うつの何たるか」を、あたたかい夫婦愛の物語によって描き出しているすばらしい作品だった。
僕自身、映画好きで月に何本も観るのだが、こんなに胸があつくなる作品に出会えたのは、本当に久しぶりな気がする。
人生では、どうしようもなく辛い出来事に出会うことがある。
「どうしてこんなことになってしまったんだ」とすべてに絶望し、自分を責めたくなることがある。
けれど後になって振り返れば、「その辛い経験から何か大切なことを学んでいた」ということに気づくもの。
それが自分と、身近な大切な人たちが、しあわせな人生へと一歩を進める糧になるのだと思う。
そして忘れないでおきたいのは、「自分のした辛い経験が多くの人を元気づける」ということ。
この映画のクライマックスで、幹夫がうつの経験者として講演会に参加するシーンがある。
質疑応答のときに、傍聴者の男性が幹夫にたいして言った一言が、すごくいいなと思った。
はたらく日本の人たち。
そしてその家族の人たち。
こうした人たちに、本作をぜひ観てほしい。
この映画に出会えてよかった。
ありがとうございました。
(※ 本作はU-NEXTで観ましたが、U-NEXTでは時期によって、作品の配信が終了することもあります)
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