30代で農業に転職しようか検討している人
筆者はこんな人
- 30代で農業法人に就職
- 農業の勤務歴:3年目
「農業を始めてみたい」と考える30代の人は多いでしょう。
ですが結論、農業はおすすめしません。
僕はかつて30代で、はじめて北海道の農業法人に就職し、炎天下のなか畑で働いていました。
今回はそんな実体験をもとに、「30代で農業に転職しようとしている人に伝えたいこと」というテーマで解説します。
後悔のないキャリアを歩めるよう、ぜひ最後まで読んでみてください。
※
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くわしくは以下の記事を読んでみてください。
30代で農業に転職しようとしている人へ【絶対やめるべき】
① 一般企業と比べ、農業法人は会社としてズサン
僕はこれまで2社の農業法人で働いてきました。どちらも、とにかく「物事の管理」というものができていませんでした。
2社で具体的に起きていたこと
- 社員に給与明細を渡さない
- 社員に健康診断を受けさせていない
- 社員が提出したタイムカードを紛失
- 社員の社会保険加入手続きを忘れる
上記のとおり。
ほかにも、正社員が無断欠勤することも何度かありました・・。
農業法人の社長の多くは、もともと個人農家だった人。
設立して数年ほどの会社の場合、社長自身が会社運営をよくわかっていないことがあり、いろんなことがズサンになりがち。
僕が働いていた会社もまさにそうで、上記のように、常識ではあり得ない出来事が頻発していました。
30代の方なら、すでに一般企業などで10年かそれ以上、働いた経験がある人がほとんどでしょう。
ですがその経験をもって農業法人で働くと、「この会社はいったいどうなってるんだ・・」と首をかしげる出来事に、何度も出遭うかもしれません。
ちなみに農業生産法人のほかにも、世の中には「入社しないほうがいい会社」があります。くわしくは以下の記事で紹介しています。
「常識のないだらしない会社」については、以下の記事が参考になります。
② 生産現場の繁忙期は「超」ブラック
農業法人で働くうえで、いちばん辛いこと。
それは繁忙期の「極端なブラック労働」です。
僕が以前いた会社では、5月の種まきの時期、社員が朝7~翌朝3時までトラクターで種まきをする毎日を送っていました。
もちろん、はたから見れば異常。
ですが彼らは、生まれが農家です。
朝から夜更けまで働くのを昔からしてきたので、世間的にみて異常な働き方も、農家にとっては「ごく普通のこと」です。
農業は「休みなく、長く働く」のが当たり前の世界。
そうした価値観が主流の環境で働くと、こちらが望んでもいないのに、極端な長時間労働に巻き込まれることになります。
(↑当時の実際の現場です。深夜まで畑仕事・・)
ちなみに僕は身長174センチですが、繁忙期は朝から晩まで畑で肉体労働していたおかげで、体重55キロ以下にまで痩せました・・。
その経験から、長時間労働の会社は2秒でやめるべきだと思っています。くわしくは以下の記事で解説してます。
③ 仕事の大半は機械運転と、単調な肉体作業
「農業に興味があるから始めてみたい」
↑こう考える人も多いかと思います。
青空の下、色とりどりの作物を育てて心豊かに働く農家さんの姿。そうしたイメージが、農業への関心を生むのかもしれません。
ですが実際、そうしたイメージは幻想です。
むしろ農業は、
- 退屈な機械運転
- きつい肉体労働
がほとんどです。
たとえば生産現場では、2tトラックやトラクターなどの大型機械を運転しないといけません。
もちろん機械が好きな人には嬉しい仕事。でも機械に興味がない人にとっては、まったく面白みがありません。
もうひとつは肉体労働。
たとえば、収穫した作物を入れるために「鉄コンテナ」を用意するのですが、これを人力で組み立てる作業がかなりキツイです。
(↑このコンテナの組み立てが地獄・・)
ほかにもキツイのは、苗箱を運ぶ作業。
野菜の苗を植えた何百個もの箱を、手で持って運ぶ作業があるのですが、これも大変・・。
(↑水を含んだ重い苗箱。ビニールハウスに何百個と運びこむ作業をしていると、さすがにうんざりしてきます・・)
↑この写真は、トウモロコシを植えるためにマルチシートを敷いている様子です。
シートが風で飛ばないよう、ひたすら土をかけています。この日は夜8時ちかくまで作業し、みんなクタクタになっていました。
しかもこうした肉体作業は、きついわりに誰でもできる単調作業。
いくらやっても特段のスキルはつきません・・。
とくに高学歴の人にとっては、肉体労働は地獄。くわしくは以下の記事で解説しています。
④ 農家の世界ではキャリアアップできない
僕は農業で働きはじめて3年目ですが、いわゆる「転職市場で評価されるキャリア」は身につきにくい環境だと実感しています。
かりに農家として働き、将来転職することになったら、それまでの仕事の経験を応募先にアピールする必要があります。
ですが農家として働いた経験が、どれだけ転職市場で評価されるでしょうか?
- トラクターの運転技術
- 大型トラックの運転技術
- 畑で肉体労働をした経験
↑こうしたスキルや経験が、はたして外の世界でどれだけ評価されるでしょうか?
(↑こういう大型機械の運転スキルを身につけたところで、将来なんの役に立つのか・・)
もちろん、
- 「トラックの運転スキルを活かして、将来は運送業で働きたい」
- 「畑で肉体労働した経験を活かして、将来は建設業で働きたい」
上記のような思いがある人なら、農家としての職務経験を転職に活かせるかもしれません。
ですがそうじゃないなら、農業で働く意味は本当にあると言えるでしょうか?
もちろん農業を否定する気はありません。
ただ、農家として機械運転や肉体労働をいくらがんばったところで、このさきの自分の人生を豊かにするキャリアにはなりにくい。
少なくとも僕は経験上そう思いますが、みなさんはどうですか?
ちなみに農業法人に就職するなら田舎に住むことになりますが、「田舎の会社のレベル」については以下の記事が参考になります。
田舎の会社の人間関係については、以下の記事でくわしく解説しています。
30代は転職先を間違えてはいけない
① 20代と違い、仕事選びを間違ってもやり直しがしにくい
もしあなたが20代なら、農業に飛び込んでみてもいいかもしれません。
まだ若いので、失敗しても退職し、またやり直せるからです。
ですが30代は別。
いままでの職務経験をふまえ、これから自分がどんな分野で働いていくか、キャリアの方向性を見定める年代です。
もし農業を始めて「これはダメだ」と実感したとき、ほかの仕事に簡単に戻れるでしょうか?
30代以降になれば、キャリアのやり直しが難しくなるのが現実。
そんななか、一般的なビジネスの世界とは異質の「農業」で働き、ひたすら畑で農作業し、トラックの運転をして過ごす。
社会で評価されるキャリアになるのかもわからない経験をしたところで、あなたの人生は今後よくなるでしょうか?
もちろん、僕のこの考えがすべてではありません。
いち意見として、参考にしていただければと思います。
② 30代は働き盛り。畑で働いても何も学べない
20代ほどの若さではないにしろ、30代はまだまだキャリアのまっただ中。
そんな貴重な30代を、畑で単調な農作業をしたり、トラックの運転をして過ごしても、とくに得られるものはありません。
もちろん畑仕事もりっぱな「仕事」。作物を産み、世の中の誰かの食生活に役立っている大切な仕事です。
ですが大切なのは「その仕事から何を学べ、自分にとって今後どう役立つのか」ということ。
その観点でみたときに、僕は「農家として働くことにはあまり意味がない」という結論を出しました。
(↑畑ではひたすら単調作業。いくらやってもスキルはつきませんし、キャリアアップにもなりません)
キャリアにおける貴重な経験は、畑では得られない。このことを強くお伝えしたいです。
農家になるより、農業関連会社に就職しよう
もしあなたが農業に関心をもっているなら、農家になるより、農業関連の事業をしている会社で働くことをオススメします。
たとえば
- 農産物の卸売会社
- 農業資材の販売会社
- 農業課題をITで解決するベンチャー
など。
もちろん職種にもよりますが、こういった仕事のほうが世の中で高く評価されるキャリアも身につきやすいです。
農家として畑仕事をするより、ずっと有意義ではないでしょうか?
まとめ:30代で農業に転職はしないほうがいい
今回は、「30代で農業に転職しようとしている人に伝えたいこと」というテーマで解説しました。
もちろん、農業を否定するつもりはありません。
農業も大切な産業のうちのひとつ。
農家さんたちが作物を作ってくれるからこそ、僕たちは食べ物を食べ、生きることができます。
ただ、農家として畑で働いてもキャリアアップしにくく、繁忙期のブラック労働やズサンな管理体制に苦しむ可能性があります。
仕事選びを間違って後悔しないためにも、その選択が本当に正しいのか、よく考えてみることが大切ではないでしょうか?
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